立て直し図る立憲、共闘継続の共産、独自路線の維新…野党各党の動き
岸田文雄首相が10日に第2次内閣を発足させたのを受け、野党は国会でどう向き合い、来夏の参院選に向けてどう立て直すのかが急務となっている。枝野幸男代表が辞任を表明した立憲民主党は30日に後任を選ぶ代表選を行う方向だ。一方、日本維新の会は「ニュー野党」と称し、他の野党と一線を画す動きをみせる。
衆参両院の本会議で行われた首相指名選挙では、衆院選で「野党共闘」を組んだ立憲、共産、社民各党が立憲の枝野氏に投票した。ただ、国民民主は枝野氏ではなく、玉木雄一郎代表に投じた。維新は片山虎之助共同代表に入れた。
立憲の安住淳国会対策委員長は本会議終了後のNHKの番組で「野党第1党には政権をめざす宿命がある。いまの政治に不満を持っている人の意見を受け止め、政権を取れる体制を整えていきたい」と語った。
立憲内ではこの日も代表選に向けてグループの会合が相次いだ。女性や「世代交代」となる中堅・若手の擁立を探る動きが活発化している。
また、衆院選で共産と選挙協力したことをめぐっても議論が交わされている。枝野氏が、共産との間で「限定的な閣外からの協力」という政権の枠組み合意に踏み込んだことが比例票の伸び悩みにつながったという意見がある。
一方で、小選挙区では「野党で候補を一本化しなければもっと厳しい結果になった」との見方もある。1人区が勝敗のカギとなる参院選に向けて、「野党共闘」路線は継続せざるを得ないのではないか、との声が広まりつつある。
共産は、首相指名選挙で枝野氏に投票した。志位和夫委員長は「自主的判断。政権合意を掲げて総選挙を戦った以上、枝野氏に投票するのが当然だ」と説明した。今後も野党共闘を続けていく意向だ。
これに対し、議席を伸ばした維新は憲法改正の議論などで存在感を示そうとしている。馬場伸幸幹事長は10日の会見で「維新が議席を増やしたのは、共産と組んだ立憲の『オールド野党』に期待できないからだ」と主張。自ら「ニュー野党」と称した。
維新は9日に国民民主と幹事長・国会対策委員長会談を開いたのに続き、同日夜には馬場氏と自民党の茂木敏充幹事長らが会食した。馬場氏によると、馬場氏が「憲法審査会をしっかり動かしてほしい」と求めると、茂木氏が「しっかりと前に動かしていきましょう」と応じたという。馬場氏は「大変喜ばしいことだ」と会見で語った。
また、立憲と距離を置き、維新と連携する国民民主の玉木代表はこの日、控室にあいさつにきた岸田首相に対し、ガソリン価格を下げるために減税できる規定(トリガー条項)の凍結解除について求めた。玉木氏はNHKの番組で「すべての政党と等距離でやる。政策実現を第一に考えていく」と語った。
また、3議席を獲得したれいわ新選組は山本太郎代表が国政復帰した。山本氏はこの日の記者会見で、野党共闘について「誰にでもわかる言葉で戦っていくことが担保されない限りは次どうするという話にならない」と指摘。党として「積極財政」を訴えていく考えを示した。
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- 【視点】
わかりやすいインフォグラフです。与党と野党に「ニュー野党」が加わった構図のようですが、ずっと前からの与党・野党・第三極(ゆ党)の構図が党名や構成を変えながらいまも続いているということで、基本的な構造は変わっていないんだなとあらためて思いまし
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