京都府立植物園かいわいの再開発計画に賛否、活気より環境維持の声も

高井里佳子
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 京都府が、府立植物園や府立大学など文教施設が集まる京都市左京区の「北山エリア」を再開発しようと計画している。文化や芸術を通して活気ある地域にする狙いだが、住民からは賛成だけでなく、反対の声も上がっている。環境が大きく変わるためだ。(高井里佳子)

 整備計画の対象は、京都市営地下鉄北山駅の南に広がる約38ヘクタールの府有地。その3分の2を占めるのが府立植物園だ。

 植物園は1924年に開園し、公立総合植物園としては国内最古。甲子園球場約6個分(約24万平方メートル)の園内に、約1万2千種の植物を保有している。今年7月には「世界最大の花」と呼ばれるショクダイオオコンニャクを開花させた。

 ただ、この一帯は「にぎわいや交流機能が少なく、周遊、滞在しにくい」「多くの施設が老朽化している」といった課題があると府は指摘する。そこで昨年12月、「北山エリア整備基本計画」を策定した。

 計画によると、植物園に新たに標本庫や研究室を設けて教育・研究機能を高める。園西側の賀茂川沿いにレストランやミュージアムショップを作り、北山通沿いにも商業施設を整備して、人の流れを園内に引き込みやすくするという。

 植物園の周りでも、園の南側にある府立大の体育館を約1万席のアリーナを備えたものに建て替え、府立医科大、京都工芸繊維大と共同で使えるようにするほか、園の東側に劇場など芸術複合施設を作ることを検討している。

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 この計画に、反対の声が相次いでいる。

 植物園と道路を隔てる生け垣が伐採される恐れがあるほか、観覧温室の移転が検討されており、移動に伴い植物が枯れるなどのリスクがあると懸念されているためだ。園の関係者は「整備によって植栽できる面積が減り、貴重な植物が盗掘されることも考えられる」と話す。

 住民や全国の園芸関係者らが計画見直しを求める署名活動中で、今月10日時点で約10万筆に。歴代園長も反対の立場で会見を開く異例の事態となっている。

 8、9日に府が京都市内で開いた住民向け説明会では「植物園は自然を楽しむ場所。魅力を壊すようなことはやめてほしい」「騒々しい街中と離れ、静かなところを求めて植物園に来る。静かで文化的な環境を望んでいる」など、計画に否定的な意見が多く出た。

 一方、「(植物園の)サイズを変えない方向であれば、条件付きで賛成する」という意見もあった。

 府は「(計画の)垣根を極力なくすというのは、あくまで理念的なもの。完全に取り払う形にはならない」「イメージの段階でまだ決まっていない」と述べるにとどめた。

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 賛否両論あるなか、府は9月、「植物園整備検討に係る有識者懇話会」(仮)を設置する方針を示した。時期やメンバーは未定。国内外の植物園事情に詳しい専門家や、文化や経済の関係者らに整備の方向性を検討してもらうという。今回の説明会で参加者に実施したアンケート内容も、懇話会に情報提供する予定だ。

 西脇隆俊知事は、今月9日の記者会見で、「植物園はずっと変わってなかったわけではなく、時代に合わせて進歩してきており、(地域の)意見も踏まえて(懇話会を)作りたい」と述べた。

府立植物園の歩み

1917年 工事を着工

1924年 「大典記念京都植物園」として開園

1946~57年 連合軍が接収。多くの樹木を伐採

1961年 府立植物園として開園

1992年 観覧温室と植物園会館が完成

2020年 植物園を含む北山エリア整備基本計画が浮上