描いたのは巨大な岡本太郎 下町はブルックリンを目指す
「十三ブルックリン化計画」。アート活動が活発な米ニューヨークのブルックリンのように、大阪市淀川区の下町・十三エリアをアートの街にしようという計画が進んでいる。仕掛けるのは、地元に住むアーティスト。一体、どんな取り組みなのか。
10月中旬、大阪市淀川区の河川敷沿いに突如、芸術家・岡本太郎が現れた。マンションの外壁に高さ13メートル、幅9メートルで描かれた巨大な壁画は、土手を歩く人や行き交う車をぎょろりと射すくめる。
「目がいいでしょ」。壁画を見上げながらそう話すのは、十三を拠点に活動する壁画アーティストのBAKIBAKIさん。相方のMonさんと組むライブペインティングユニット「DOPPEL」として、わずか2週間で描き上げた。「岡本太郎の遺志を継ぎ、新しい表現に挑戦していくという思いを込めました」。壁画は、4年後の大阪・関西万博までに淀川エリアをアートであふれる明るい街にしようと始まったプロジェクト「淀壁(よどかべ)」の作品の一つだ。
淀壁には、発起人であるBAKIBAKIさんを含む5組のアーティストが参加。9月末から10月中旬にかけ、淀川沿いの十三、西中島エリアの建物や塀の外壁に計5作品を描いた。
淀川区役所近くの整骨院の壁には、地球を侵略しに来た宇宙人のキャラクター「おもちエイリアン」が痛めた腰を整骨院で治療するというストーリーが絵巻のように描かれた。初めて街に残る壁画に挑戦したイラストレーターのborutanext5さんは「本当に街を侵略できているみたい。今回の壁画はずっと残るので楽しい」。壁画を巡るバスツアーに参加した会社員の河野周平さんは「美術館の絵と違って散歩中でも車の中からでも見られる。身近な楽しみが増えました」と目を輝かせた。
プロジェクトのきっかけは今…