「世界の記憶」に国内から2件推薦 家康や円珍ゆかりの仏教史料

神宮桃子
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 世界的に重要な記録物の保護などを目的としたユネスコ国連教育科学文化機関)の「世界の記憶」(旧・記憶遺産)に、日本から仏教史料2件が推薦されることになった。文部科学省が10日発表した。

 推薦されるのは、徳川家康が全国から収集し増上寺に寄進した仏教聖典「浄土宗大本山増上寺三大蔵」と、中国・唐に渡り日本に密教の教えをもたらした平安時代の僧、円珍に関連する史料群「智証大師円珍関係文書典籍―日本・中国のパスポート―」。2023年のユネスコ執行委員会で登録の可否が決まる予定。

 浄土宗と大本山増上寺が申請した浄土宗大本山増上寺三大蔵は、木版印刷の計約1万2千点。国の重要文化財に指定されている。現代の仏教研究の基礎で、漢字文化や印刷文化の観点からも貴重な史料とされる。

 円珍に関連する史料群は、園城寺と東京国立博物館が申請し、いずれも国宝。唐から持ち帰った通行許可書の原本などが含まれ、日本と中国の文化交流の歴史や、当時の唐の法や交通制度を知ることができる非常に貴重な史料と評価された。

 「世界の記憶」は、2015年に「南京大虐殺の記録」が登録されたのを機に日本が審査方法の見直しを求め、新規の登録も17年を最後に凍結されていた。今年4月、当事国が反対すれば登録されないなどとする制度改正が決まった。旧制度では個人や市民団体も直接申請できたが、新制度では申請は各国政府に限られる。新制度の下で登録の申請受け付けが再開され、今回の国内公募には計11件の申請があった。(神宮桃子)