「おまえは生きているか」 自然の声を聞く ミロコマチコの新境地

会員記事

聞き手・西田理人
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 生命力に満ちた生き物たちの姿を、ダイナミックな筆致で描き出す絵本作家・画家のミロコマチコさん。モノや情報にあふれた東京から、自然豊かな奄美大島へと移住した画家は、そこで出会った「目に見えない存在」を描き始めた。

 彼らはいったい、何者なのか。神戸で大規模個展を開催中のミロコさんに、表現に込めた思いを聞いた。

ミロコマチコ

1981年、大阪府生まれ。絵本「オオカミがとぶひ」(2012年)で日本絵本賞大賞、「オレときいろ」(15年)でブラチスラバ世界絵本原画ビエンナーレ金のりんご賞など、国内外で受賞多数。神戸ゆかりの美術館(神戸市東灘区)での企画展「ミロコマチコ いきものたちはわたしのかがみ」は、大型のライブペインティングや絵本原画、本の装画など200点以上を集め、制作の全貌に迫る。12月19日まで。

山形の虫が教えてくれたこと

 ――展示会場の入り口に掲げられたエピソードが印象的です。

 2018年に山形市で開催された「みちのおくの芸術祭 山形ビエンナーレ2018」で、滞在制作をしていた時のことです。山の近くの芸術大学のアトリエで夜遅くまで作業をしていたら、ガラス窓にたくさんの虫が張り付いていることに気がつきました。おなかの形が面白くて眺めていたら、ガラスに反射する自分自身の姿が重なって見えました。

 ――その時、何を感じたのですか。

 「おまえは生きているのか」と、虫から問われたような気がしたんです。同じ生き物として比べたときに、私は必死に生きているだろうか。いや、まだまだ全然だと。野生の動物たちは生きるために日々食べ物を探しますが、人間はお金があればご飯を買える。自然の中で生き抜く力が、私にはなさすぎる。それでいいのか、もっと切実に生きたいという以前から抱えていた思いが、一層強くなりました。

 ――翌19年に東京から奄美大島に移住しました。ご自身にどんな変化がありましたか。

 東京では大概の物事が人間の…

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