謎だらけのバンクシー、夢があるしハートフル 画家・福田美蘭さん
構成・大野択生
バンクシーの魅力は、正体が誰だかわからないという謎に包まれていること。素性が明かされないから、作品に目がいくでしょう。型にスプレーを吹き付けてグラフィティを描くステンシルの風合いは素敵ですよね。冷たくて客観的で、それは匿名性と相性がいい。そして描くモチーフと描く場所に必然的なつながりがあるから、説明する言葉がなくても、見た人はメッセージを感じ取ることができる。
グラフィティが美術館で展示されるような作品と違う点は、それが消されてしまうかもしれないということ。でも、「無くなってもいいよ」という潔さがあって、時代のドキュメントっていうか、旬な感じがする。匿名の人による作品が、ある場所で、ほかの誰かの気持ちを動かすかもしれない。しかも、その作品がそこにあるときだけ。そこにはとっても夢があるし、ハートフルだと思います。
現代の政治的・社会的な問題…