居酒屋→ラーメン店へ多角化で活路 コロナ下の「一本足打法もろい」

新型コロナウイルス

池田拓哉
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 コロナ禍による飲食不況から、経営の多角化を図る動きが出始めた。居酒屋ラーメン店にリニューアルしたり、日本酒の蔵元がウイスキーに挑戦したり。落ち込んだ売り上げを補い、新たなビジネスチャンスをつかもうと、経営者の試行錯誤は続く。

 宇都宮市西川田町の栃木街道沿いにラーメン店「豚のオオモリ製作所」が10月末、オープンした。居酒屋「大森商店」だったが、社長の大森裕介さん(38)=壬生町=が転業に踏み切った。1月以降、大森さんは宇都宮市、壬生町で3店舗のラーメン店を開業。2店舗は居酒屋をリニューアルした。

 コロナ禍は居酒屋経営に大打撃を与えた。昨年3月には売り上げがほぼ半減した。宇都宮大近くで出店を予定していた4店舗目の居酒屋は延期になった。

 国、県の休業・時間短縮要請や外出自粛ムードの広がりで赤字が重なった。「店を開ければ日銭が入る、というこれまでの当たり前が通じなくなった」

 月300万円ずつ赤字が膨らみ、多い月は800万円になったという。従業員の給料を下げ、数人は店を辞めた。引き留められなかったのがつらかった。

 昨夏、味にほれていた茨城県の有名ラーメン店「龍介」の経営者に、知人を通じて引き合わせてもらった。麺やスープを自分で作れるよう指導を受けた。

 1月下旬、出店予定だった宇都宮大近くの店舗をラーメン店「オオモリ製作所」としてオープンさせた。鶏白湯(ぱいたん)の濃厚な味わいが評判を呼び、週末は1日400杯以上を売り上げる人気店になった。7月には壬生町の居酒屋も改装してラーメン店にした。「豚のオオモリ製作所」は豚を使って味を変えた。

 居酒屋は1店舗のみ。ラーメン店の開業準備などで休業していたが、11月下旬に再開予定だ。近く下野市で製麺工場も稼働させる。

 「居酒屋だけの『一本足打法』はもろさがあった。コロナ禍は自分の固定概念を壊すいい機会となった。ようやくスタート地点に立てた。借金、返しますよ」

日本酒の蔵元→ウイスキーも

 宇都宮市の居酒屋「ぴんすけ」は9月から、ランチタイムにラーメンの提供を始めた。コロナ禍で昨年6月から昼間の営業を始めて定食を出してきたが、ラーメンに切り替えた。近くのオリオン通り周辺にラーメン店が少なく、看板メニューの串焼きで肉を扱う強みも生かせると考えた。夜の収入減を埋めるまでにはいかないが、客の評判は上々という。

 日本酒「門外不出」などで知られる小山市の西堀酒造は来年5月をめどにウイスキー生産に乗り出す。新分野への展開をめざす事業者を支援する国の「事業再構築補助金」を活用する。昨年来、日本酒の売り上げは2~3割落ち込んだという。6代目蔵元の西堀哲也さん(31)は「国内外で日本産のウイスキーは需要が大きい」と期待をかける。

 県は10月中旬から「新事業展開支援補助金」の支給事業を始めた。経費の3分の2を上限に最大500万円を補助する。補助対象として、飲食店が店舗を改装して新たにテイクアウト専門事業に乗り出したり、ダンス教室が一部改装してオンラインレッスンを始めたりする事例を掲げる。募集は来年1月17日まで。約10事業所が申請準備を進めているという。(池田拓哉)

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