首相肝いり、デジタル田園都市国家構想 その実効性は

永田大
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 政府は11日、デジタル技術を通じた地方の活性化を検討する「デジタル田園都市国家構想実現会議」の初会合を開いた。岸田文雄首相は成長戦略の主要な柱に掲げており、年内に具体的な施策の全体像を示し、来春にも構想を取りまとめるという。ただ、安倍・菅政権が推し進めた「地方創生」の看板の掛け替えという見方もあり、実効性が問われそうだ。

 首相は会議で「時代を先取るデジタル基盤を公共インフラとして整備し、地方のデジタル実装を支援していく」と強調。デジタル化の取り組みを支援する交付金を創設するなどして「早期に地方の方々が実感できる成果をあげたい」と話した。

 ポストコロナの国家像を見据えるにあたり、首相は自らの派閥「宏池会」で会長を務めた大平正芳元首相が掲げた「田園都市構想」を引用。デジタルをつかった地方活性化を昨年の自民党総裁選から提唱している。都市と地方の格差・分断の是正は「新しい資本主義」の実現に資すると主張する。

 新自由主義からの転換を持論とする首相だが、会議の構成員には、「小泉構造改革」の旗振り役で安倍・菅政権でも重用された慶応大名誉教授の竹中平蔵氏が名を連ねた。首相周辺は「新しい資本主義実現会議のメンバーだって6割は成長派だ。排除はしない」と説明する。

 構想実現のため、首相は低速・小型の自動配送サービスを可能とするための法案づくりや、地方に住む高齢者向けの自動運転移動サービスを認める新たな制度の創設などを矢継ぎ早に打ち出した。地方に高速通信規格「5G」やデータセンターなど通信インフラの整備を進め、交付金制度も新設するという。

 だが、これまでも国は同じような政策を進めてきた。地方創生行政に関わる内閣官房幹部は「地方創生はデジタル化だけではうまくいかない。『デジタル』という言葉が独り歩きしている」と懸念を示す。(永田大)