介護・保育・看護の賃金3%アップへ 政府調整、一部対象絞る案も

西村圭史、久永隆一、石川友恵
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 政府は、介護職員や保育士、救命救急センターを設置する医療機関に勤める看護師、幼稚園教諭の賃金について、来年2月から月額約3%にあたる9千~1万2千円引き上げる方針を固めた。児童養護施設や放課後児童クラブ、障害者施設で働く人も同様に賃上げする。

 複数の政府・与党関係者が明らかにした。引き上げ額は看護師が月額1万2千円で20万人弱が対象になる。そのほかの職種は同9千円引き上げる。19日に発表する経済対策で打ち出し、補正予算に交付金を盛り込む。民間企業の平均を下回る介護・保育分野の賃金の底上げを図るねらい。子どもや障害のある人たちの教育や福祉の分野でも低賃金が課題となっている。

 介護、保育、看護の分野は、サービスの価格を政府が決める「公的価格」。高齢者施設や保育所、病院といった事業者側の手元に「報酬」として入るが、公的価格を引き上げれば、現場で働く人たちの賃金の水準も上がりやすくなる。

 政府は来年2~9月分は交付金や補助金といった形で、賃上げに必要な予算を確保する。介護と看護の10月分以降については、価格を引き上げる「報酬改定」での対応を検討している。看護は、年末の報酬改定で財源確保を議論する。介護は臨時の改定を行う。

 内閣官房によると、ボーナスなども含めた賃金水準を月収に換算すると、2020年は介護職員が29万3千円、保育士が30万3千円、看護師は39万4千円。介護職員と保育士は、民間平均の35万2千円(20年)を下回っている。岸田文雄首相はこれらの職種の処遇改善で民間全体の賃金引き上げを促し、経済政策の柱に据える「成長と分配」の呼び水にしたい考えだ。

 政府はまた、新型コロナウイルスの影響を受けた困窮世帯のうち、条件を満たす対象者に支給してきた「生活困窮者自立支援金」について、最大計60万円を再支給する方向で調整している。これまでの支給額の倍となる。対象者の要件緩和なども検討しており、経済対策に盛り込む。

 生活困窮者自立支援金は、今夏に配り始めた1回目の際は最大月10万円を最長3カ月間まで支給し、最大計30万円だった。コロナ禍が長期化したことを受けた今回は、支給期間を3カ月延ばすことで計6カ月とし、最大計60万円に支援を拡大する方向となった。(西村圭史、久永隆一、石川友恵)