「ニベ」に注目 市場に出ないけど、実はおいしい低利用魚

皆木香渚子
[PR]

 水揚げされても市場に流通しない魚は、低利用魚と呼ばれている。近年、東海地方の定置網にかかる量が増えてきた「ニベ」も、この地方ではそんな低利用魚だ。スズキに似た大型魚で、くせのない白身が特徴。地域課題の解決に取り組むベンチャー企業「On―Co」(三重県桑名市)の代表・水谷岳史さん(33)は、そのおいしさに目をつけた。

 名古屋市中区の「FabCafe(ファブカフェ) Nagoya」。イタリア料理のアクアパッツァ風包み焼きに、ニベが使われている。マネジャーの甲斐慶太さん(30)が10月からメニューに加えた。店の常連客だった水谷さんの紹介がきっかけだった。

 サイズが小さい、逆に大きすぎる、加工に手間がかかる、地域の食文化になじみが薄い――。網にかかっても流通しない理由は様々だ。船上で廃棄されず港に到着しても、低利用魚は魚粉などに加工されるか、地元での消費にとどまる。

 東北沿岸以南~東シナ海に生息するニベは、東海地方では、あまりなじみがない魚だ。大きすぎて扱いづらく、加工しても需要は限られ採算がとれない。水揚げされた地元で消費されていた。

 空き家を活用した地域おこしにも取り組む水谷さんは、仕事上、三重県内の漁師と関わるなかで、低利用魚の活用を考えるようになった。

 注目したのがニベだ。「おいしいから市場に出ないのはもったいない。漁業の現場を知らない人が味を知ることで需要が増えるのでは」。カフェを訪れた際、甲斐さんに低利用魚について話した。

 甲斐さんも関心を持つようになった。9月下旬、水谷さんの仲介で、海産物加工業者・伊勢志摩冷凍(三重県志摩市)を訪れた。同社では、ブリなどを狙った定置網に多くかかるようになったニベを冷凍して保管していた。甲斐さんはメニューに取り入れることを決め、冷凍した切り身で届けてもらうことにした。

 甲斐さんはこれまで、市場に出回らない魚がどうなるのか想像することもなかったという。低利用魚を活用すれば、フードロスの削減や、漁師の収入向上にもつながる。「おいしくて海の課題の解決にもつながるメニューです」と話している。

 「FabCafe Nagoya」(定休日なし)は名古屋市営地下鉄久屋大通駅から徒歩3分。ニベを使った白身魚の包み焼きは、税込み980円。(皆木香渚子)