名画のドレスから解き明かす西洋の服飾史 生花を使った秘密とは 

[PR]

 古い絵画に描かれたドレスは、西洋の服飾文化を豊かに物語ってくれる。日本女子大の内村理奈教授は『名画のドレス 拡大でみる60の服飾小事典』(平凡社)で、衣服の小さな飾りや小物に宿る歴史や奥深さを読み解いた。発売4カ月で3刷が決まり、話題を呼んでいる。

 著書はフランスを中心とした18~19世紀の60枚の絵を「ヴェール」「コルセット」「日傘」など60の服飾用語から解説した。

 フランソワ=ユベール・ドルーエ「コーモン・ラ・フォルス侯爵夫人」(1767年)の肖像画では、「アンガジャント」と呼ばれる袖口のレース装飾に着目した。この言葉に「魅惑する」といった意味があることに触れ、袖が異性を引きつける服飾品だったかもしれないと推測する。

 ジャン=マルク・ナティエによる肖像画「マダム・ソフィ・ド・フランス」(1748年)で注目したのは「花飾り」。生花を服や帽子に飾る際、花がしおれないように水の入った小さなボトルを服に仕込んでいた。

 当時の貴族が、熱心に着飾っ…

この記事は有料記事です。残り850文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません