蕨市の地元企業が市内2本のユズを使った菓子販売
埼玉県蕨市で採れるユズを使ったゼリーとマドレーヌをネット販売会社「あぶらび」が売り出す。市としては面積の狭さと人口密度が日本一の蕨。そこのわずかなユズを使って商品化することで蕨版のSDGs(持続可能な開発目標)にもつなげたいとしている。
同市は総面積511ヘクタールのうち耕地は1ヘクタールで農家は21戸。ユズを生産している農家は1戸で果樹も2本しかない。年間150個ほど採れるが学校給食用だった。
それに目をつけたのがあぶらび社長の田口智章さん(52)だ。これまでは文具などを販売していたが調理師の資格も持っていて食品販売にも関心があった。5月ごろからユズを生産している山下民子さんに日参して承諾してもらった。
一方、蕨商工会議所では昨年、蕨産の農作物を使った料理を飲食店で展開した。好評だったが、店側からは生産量が少なく納品が安定しない、農家側からは流通にのっていないため納品が難しいといった課題が浮き彫りになった。
そこで鮮度が問われない菓子などに加工すれば継続的にでき、SDGsにもつながるとして取り組む企業を募集。あぶらびも応募して、会議所の応援も受けて商品化にこぎつけた。
ゼリー(367円)もマドレーヌ(259円)もユズの味が濃いのが特徴。田口さんは「普通、菓子に使うのは傷物。これは山下さんが丹精込めてつくったユズを使う。食べてもらえば価値はわかる」と話している。「わらびの山下さんのゆずを使った――」が商品名になっている。
今年はゼリー約100個、マドレーヌ約180個を作った。13日に「WARABI SELECT SHOP」(同市中央3丁目)、20日に「輪楽美」(同市中央5丁目)で販売する。(堤恭太)
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