APEC首脳会議閉幕 岸田首相 中国念頭にTPPに言及

若井琢水、北京=西山明宏、台北=石田耕一郎
[PR]

 日米中や台湾など21の国・地域が参加するアジア太平洋経済協力会議(APEC)の首脳会議が12日開かれ、コロナ禍からの経済回復に向けた貿易や投資の活性化に取り組むことなどを盛り込んだ首脳宣言を採択して閉幕した。中国と台湾が加盟申請している環太平洋経済連携協定(TPP)をめぐる発言も相次いだ。

 今年の議長国はニュージーランドで、会議はオンライン形式で開催された。

 宣言では、コロナ禍で停滞した域内の人やモノの流れを活発にするため、ワクチンや医薬品の製造拡大や流通の円滑化を進め、国をまたぐ人の移動を再開する方針などを明記した。

 また、コロナ禍を理由に保護主義的な措置が広がるなか、「多角的貿易体制は経済回復に重要な役割を果たしうる」と強調。自由で開かれた経済圏づくりを協力して推進するとした。

 APECには、日本を含むTPPの全加盟11カ国に加え、加盟申請中の中国と台湾も参加している。このため、首脳会議では、岸田文雄首相が「TPPは不公正な貿易慣行や経済的威圧とは相いれない。市場アクセス、ルールの両面でハイスタンダードを維持し、自由で公正な経済秩序の構築に貢献する」と述べた。念頭にあるのは、国内で民間企業への統制など、TPPの理念に反する動きを強めている中国だ。

 中国の習近平(シーチンピン)国家主席はTPPへ加盟を申請したことに改めて言及。「確固として対外開放を拡大し、中国が発展する機会を世界やアジア太平洋の各国と分かち合う」などとして、中国への警戒論は不要だとの姿勢をアピールした。

 また、中国と対立する台湾からは半導体製造大手「台湾積体電路製造」(TSMC)の創業者、張忠謀(モリスチャン)氏が代表として出席。台湾の蔡英文(ツァイインウェン)総統は2日、張氏と臨んだ記者会見で「TPP加盟に向け、より多くのAPECメンバー国の賛同を取り付けてほしいと(張氏に)依頼した」と話していた。(若井琢水、北京=西山明宏、台北=石田耕一郎)