中電グループ企業、工事不備のメガソーラー譲渡 知事「無責任だ」

吉沢龍彦
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 山梨県甲斐市菖蒲沢の森林を切り開いて建設が進められ、県から水害などへの対策が不十分と指摘されていた大規模太陽光発電施設(メガソーラー)について、事業者が「発電所を譲渡した」と県に12日に報告したことがわかった。長崎幸太郎知事は「社会的責任が欠如している」と非難。施設の安全性を一から検証する考えを示した。

 事業者は中部電力グループで東証一部上場企業でもあるトーエネック(本社・名古屋市)。施工業者のブルーキャピタルマネジメント(東京)が林地開発許可を得て、昨年から工事を進めていたが、水害を防ぐために設ける調整池の資材が許可条件と異なっていたことや、樹木を伐採した斜面の保護が不十分なことが判明。地元住民から不安の声が上がっていた。

 8月31日には長崎知事がトーエネックの担当者を県庁に呼び、完全な形で工事を完了させ、稼働後の維持管理にも万全を期すことを要請。同社側は「法令に従い、責務を果たしたい」としていた。

 県によると、同社の担当者が11日来庁。工事の施工業者に設備を譲渡する旨を伝えた。県側は「受け入れられない」と再考を求めたが、12日に改めて電話で問い合わせたところ、譲渡契約を同日付で交わしたと回答したという。

 長崎知事は「申し入れが完全に無視され、信頼の土台が破壊された。社会的に不誠実な行為で強い憤りを禁じ得ない」「場合によっては人の命がかかわる問題を放擲(ほうてき)して逃げ去るのは、あまりにも無責任だ」と批判。今後は、譲渡を受けた事業者が安全対策を施すよう、森林法に基づいて指導していくと説明した。

 トーエネックによると、発電設備はブルー社から譲渡を受けたという。県から防災対策の不備を指摘され、工事し直していたが、ブルー社から「責任をもって完成させるため、一度買い戻したい」と提案を受け、改めて譲渡契約を交わしたという。

 トーエネックの担当者は「譲渡したが、事業には関与していく。工事の状況を定期的に現場で確認し、必要に応じて指導する」と説明している。(吉沢龍彦)