藤井聡太四冠の成長、乗り越えた豊島前竜王の壁 記者が見つめた姿

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佐藤圭司
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 藤井聡太さん(19)と豊島将之さん(31)が初めて将棋盤を挟んだ瞬間を、記者が目撃した日から、もうすぐ丸7年になる。あの日、豊島さんから将棋を教わるという感じだった藤井さんが、今年6~11月の三つのタイトル戦で豊島さんに連続勝利。藤井さんの成長に驚くばかりだ。

 2014年12月29日、名古屋市内のビルの一室。当時、藤井さんは小学6年生でプロ養成機関「奨励会」の初段。棋士と認められる四段になるまで、あと3回、昇段しなくてはならなかった。このころから寡黙で、大人びていた。当時七段だった豊島さんは、まだタイトルに手が届かない時期だったが、実力は高く評価されていた。

 練習将棋をセッティングしたのは名古屋市出身・在住の棋士、杉本昌隆さん(53)。愛知県瀬戸市出身・在住の藤井さんにとっては師匠で、同県一宮市出身の豊島さんにとっては東海地方の先輩棋士。2人の才能を知る杉本さんは、朝日新聞に連載中のコラム「杉本昌隆八段の『棋道愛楽』」で19年5月に「いつか必ずタイトル戦で当たるであろう組み合わせを見たかった」と明かしている。

 杉本さんが見通していた「いつか」は、2021年だった。しかも、2人は王位戦七番勝負、叡王戦五番勝負、竜王戦七番勝負という異例の「十九番勝負」を繰り広げた。

 2人のタイトル戦が実現したのは、豊島さんが一足先にタイトル戦の常連となっていたことも大きいと思う。初タイトルの棋聖獲得は18年。19年には将棋界の二大タイトルとされる名人と竜王を奪取し、史上4人目の名人・竜王に輝いていた。

 このころ、豊島さんが藤井さんについて語った言葉を、強烈に覚えている。

 名人を奪取した翌朝恒例の「…

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