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認知症受刑者がテーマのドキュメンタリー作品、グランプリを受賞

小川智
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 昨年7月から今年6月まで放映された地方発のドキュメンタリー映像を紹介する第41回「地方の時代」映像祭が13日、大阪府吹田市関西大学千里山キャンパスで始まった。グランプリには「忘れてはいけないこと~認知症受刑者が問いかけるもの~」(岡山放送)が選ばれた。

 同作品は、受刑者約400人が収容されている岡山刑務所の高齢化の問題を取材。半数以上が無期懲役の受刑者で、4人に1人が65歳以上の高齢者だ。

 特に深刻なのが受刑者の認知症だ。殺人罪などで無期懲役の80代前半の受刑者は、年齢がわからないだけでなく、自分がなぜ刑務所にいるのか思い出せないという。受刑者の高齢化とともに介護施設化し、医療費の負担が増え、人間の尊厳に関わる認知症の問題に直面する中で、受刑者の贖罪と社会復帰ができるか、現在の刑務所が抱える問題を伝えている。

 岡山放送アナウンサー兼ディレクターの岸下恵介さん(28)が、昨年11月にフルーツの保護ネットなどを作る高齢受刑者向けの養護工場の取材を契機に約4カ月取材。岡山刑務所長に粘り強く取材交渉を重ねた。

 贈賞式のあいさつで岸下さんは、「岡山刑務所長に粘り強く交渉し、同じ20代のカメラマンと取材しました。若い世代のテレビマンが新たな時代をつくっていけるよう、今後も精進したい」と笑顔で話した。

 審査委員長で朝日放送テレビ名誉エグゼクティブの和田省一さんは「私たちが気がつかない塀の向こうで進行している大きな変化を察知し、警鐘を鳴らす貴重なドキュメンタリー」と評した。

 映像祭は、政治、経済、文化など社会の行き詰まりを「地方」からの新しい目で見直そうと1980年に始まった。今回は全国の地方の放送局やケーブルテレビ、高校生らから270点の応募があった。

 19日まで受賞作の上映がある。グランプリ作品上映は14日午前11時から。入場無料。12月4日は東京都千代田区の関西大学・東京センターで上映会もある。またNHKでも来年1月15日に放映される予定だ。

 上映スケジュールなど詳細は映像祭HP(https://www.chihounojidai.jp/別ウインドウで開きます)へ。(小川智)