京都の学生街でデカ盛り企画 地元信金がアイデア「私たちも利益に」

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原田達矢
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 満腹まで食べられる「デカ盛りのまち」を目指そうと、京都市有数の学生街で、複数の飲食店が新メニューを打ち出している。コロナ禍の苦境を乗り越えるため、全国の「大食い」も呼び込もうと、どんよくに狙う。(原田達矢)

 京都大がある京都市左京区の百万遍。叡山電鉄の元田中駅そばで創業して87年になる「成駒寿司」にはいま、カウンターに「デカ盛り海鮮丼 3600円」と書かれたメニュー表が置かれている。

1キロ分の刺し身がどんぶりに

 「挑戦してみたいな」。来店した会社員、入江俊晴さん(27)が注文した。大きなどんぶりに、酢飯、中落ち、サーモン、カンパチなど10種類以上の刺し身が積み重なり、重さは1キロほどに。入江さんは写真を撮ってから一気にかき込み、15分で完食。「色合いもよくて、色々な魚介を食べられてワクワクしました」

 このメニューは「百万遍!京のデカ盛り!すとりぃと」という企画の一つで、10月に始まった。すし屋や定食屋、オムライス屋など周辺の七つの飲食店が参加。各店とも、大盛りのさらに上を行く「デカ盛り」料理を提供している。

 写真投稿アプリ「インスタグラム」で、店舗の外観や料理の写真に「#京都デカ盛り」をつけて投稿するとドリンク無料や割引券などの特典がもらえる。医療従事者にも同様のサービスを提供する。参加7店の情報は企画の公式サイト(https://kyoto-dekamori.com/別ウインドウで開きます)で確認できる。

 成駒寿司がデカ盛りを提供するのは、創業以来初めてのことだ。店主の小林正佳さん(42)は、食材が無駄にならないか、赤字にならないか不安もあったというが、「お客さんの笑顔が見られて満足です。シェアして食べても大丈夫なので、ぜひ楽しんでほしい」と話す。

地元の信金がアイデア

 このデカ盛り企画を提案したのは、京都中央信用金庫百万遍支店。取引先の飲食店がコロナ禍に苦しむ中、担当者らが「地域の金融機関として支援できないか」と考えた。

 府内で「激辛商店街」として知られる向日市の取り組みも参考に、みんなの力で活気を取り戻せる策として出たアイデアが、デカ盛り。地元には以前から大盛りで有名な店も多く、自然な成り行きだったという。府のコロナ関連の補助金も活用し、参加店と準備した。

 同支店の西村崇支店長は「どのような補助金があるか情報を共有して、活用してもらうのが信金の役割。地域が元気になれば、回り回って私たちにとっても利益になる」と話す。

 京大吉田キャンパス近くの「ハイライト食堂百万遍店」は、通常の2倍の鶏肉400グラムを使ったチキンカツに、4種のソースをかけた「カラフルジャンボチキンカツ ダブル」(1180円)を考案。ご飯とみそ汁をつけて定食(1330円)にもできる。コロナ禍前は1日500人が利用し、その8割が学生。コロナで客数が一時は半分以下になった。辻井一喜専務(40)は「デカ盛りで乗り越えようと決めた」と話す。

 企画は、ライバルだった店同士の交流も生んだ。デカ盛りの「半身丸ごと!グランドチキンプレート」(1千円)を提供する「吉田チキン京大前店」の山本匡志(ただし)さん(43)は「周りの店の人とよく顔を合わせるようになった。全国の人が訪れて満腹になってほしい」と期待する。

全国各地にある「デカ盛り」の街

 デカ盛り、メガ盛り、ジャンボ盛り…。呼び名は異なるものの、大盛り料理を使った町おこしの取り組みは全国にある。

 福島県いわき市好間町の「よしまジャンボメニュー」は今年で12年目。商店街の店の減少を抑えようと町商工会と飲食店主らが始め、今は6店が参加する。「下坂食肉店」は約1キロのひき肉とたまねぎを使った「特大ジャンボメンチ」(1080円)を提供している。店主の下坂浩一さん(53)は「東日本大震災が起こった後もジャンボメニューがあったから踏ん張れた」と話す。

 ただ、コロナ禍の影響が大盛りの「まち」にも及んでいる

 東京都調布市は、大盛り料理を楽しみ、観光スポットを回ってもらう「デカ盛りウォークラリー」を2019年まで開催してきたが、昨年からとりやめている。担当者は「シェアして食べることは感染対策が難しいと判断した」と話す。

 逆に、コロナ禍だからこそ始めたケースも。

 群馬県桐生市では昨年10月、地元飲食店が「炭水化物なまち桐生」実行委員会を発足。約40店舗が加盟し、そのうち20店近くが「デカ盛」を提供している。空き店舗を借り、「桐生もりもりマルシェ」として毎日お昼時に加盟店が集まって弁当販売も始めた。

大盛りブームに変化も

 会長を務める「藤屋第一支店」の大川順司さん(53)は「SNSも使って、『デカ盛』で桐生や群馬県の魅力を伝えていきたい」と期待する。

 大盛りによる「まちおこし」…

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