政界引退のはずが… ドゥテルテ比大統領が上院議員選に立候補

ハノイ=宋光祐
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 フィリピンドゥテルテ大統領は15日、来年5月に正副大統領選と同時に実施される上院議員選に立候補した。10月に政界引退を表明したが、一転して取りやめた形だ。方針が二転三転する背景には、次期政権で影響力を維持するための大統領選に向けた駆け引きがあるとみられる。

 来年の正副大統領選をめぐって、ドゥテルテ氏は9月、与党PDPラバンの副大統領候補として公認された。しかし、翌月には突然、出馬を撤回して政界引退を表明。今月13日に南部ダバオの市長を務める長女のサラ氏が副大統領選に立候補すると、直後に届け出会場に姿を現して、自ら副大統領選に出馬する考えを示していた。

 側近によると、ドゥテルテ氏はサラ氏が大統領選ではなく、副大統領選に立候補したことに不満を抱いているという。

 国際刑事裁判所(ICC)が9月、ドゥテルテ氏が進めた強硬な麻薬対策について「人道に対する罪」の疑いで正式捜査をすると決めており、次期政権の顔ぶれによってはドゥテルテ氏が退任後に責任を問われる可能性もある。

 サラ氏への不満は、大統領候補として世論調査でトップの娘に権力の座を引き継ぐことで次期政権でも影響力を維持し、こうした事態を回避する思惑が外れたためとみられる。(ハノイ=宋光祐)

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