35歳で逝った高木ゑみさん 死後も動画で伝える「笑顔を忘れずに」

有料記事

鈴木彩子
[PR]

 腰が痛い――。

 料理研究家の高木ゑみさんがそう周囲に漏らすようになったのは、去年の夏の終わりごろ。34歳のときだった。

 ピアニストを目指していた大学時代、短期留学先でふるまった肉じゃがが喜ばれた。

 「料理ってすごい。人を笑顔にする魔法だな」

 もともと、来客の多い家庭で育った。4人きょうだいの末っ子で上に兄が3人。人が集う中心にはいつも、母の手料理があった。

 大学を卒業後、同世代の女の子たちに料理の楽しさを伝えようと「ガルシェフ(ガールズシェフ)料理塾」を主宰した。

 誰でも再現できるおもてなし料理や台所術が好評で、いつしか「予約のとれない料理教室」と言われるようになった。

 「強く願えば思いはかなう」が信条で、念願のレシピ本を出版。テレビ出演も果たした。

 結婚、息子の出産、離婚を経てシングルマザーになり、2020年には都内に新しい活動拠点を構えた。

 ところが夏ごろから体の不調が目立つようになった。

 がんを告知された高木さんは、治療を受けながらオンライン料理教室を始め、たくさんのお菓子を焼きました。近づく最期の時…高木さんの選択は。

 腰だけでなく、くしゃみをす…

この記事は有料記事です。残り3048文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません