雨水が原料のサイダーを開発 販売可能な水質、福井工大がクリア

堀川敬部
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 雨水の水資源としての活用に取り組む福井工業大環境情報学部環境食品応用化学科の笠井利浩教授の研究室が、雨水を原料にした甘いサイダーやソーダ(炭酸水)などについて、販売が可能な品質で製造できる工程をこのほど確立した。

 雨水ドリンクは、渇水になったり、地震で水道が使えなくなったりした際、雨水を活用できれば防災力が高まると、笠井教授とNPO法人のメンバーや会社経営者らでつくるグループ「あめぐみ(雨水生活普及委員会)」が企画。今年6月、キャンパス内で雨水300リットルを採取し、福井市内の清涼飲料水メーカー「北陸ローヤルボトリング協業組合」の工場で、試験製造していた。

 今回研究室は、市販できる水準まで品質を高めようと、10月中旬、約500リットルの雨水を採取し、新たに開発した浄化装置で処理。その後、同協業組合の工場の生産ラインをフル稼働して、250ミリリットル瓶でサイダー600本、ソーダ600本、ウォーター(通常の飲用水)300本を完成させた。原料の雨水は、一般社団法人・全国清涼飲料連合会から指示された、食品衛生法に基づく45項目の水質基準をすべてクリアしたという。

 出来上がったドリンクは、同学部デザイン学科の近藤晶准教授によってラベルを一新した。共同研究している企業や、長崎県五島列島の離島・赤島で進める雨水の安全な飲料水確保の研究に協力している団体へ約300本を送った。さらに大学の教職員にも配って、アンケートを集計中という。

 笠井教授は「実際に雨水を集め、法律に基づく検査項目を全てクリアし、工場のラインを全部動かして完成した。一般の商品と同じように販売も可能な品質で製造できたことになる」と説明する。今後は環境教育の講演会やオープンキャンパスなどで参加者に配り、雨水活用の啓発に役立てる。(堀川敬部)