第22回米供給網「主戦場」争奪の港湾競争 ケアロ参入へ超党派で政治も動く

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米イリノイ州ケアロ=青山直篤
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ケアロの河港建設予定地には古い鉄路も敷かれている。河港ができれば、改修して鉄道による荷物の積み出しに使う予定だ=10月6日、米イリノイ州ケアロ、青山直篤撮影
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断層探訪 米国の足元 第5部②

 米イリノイ州ケアロを囲み、ミシシッピ川沿いに築かれた堤防の上を、町の公営事業会社社長ラリー・クライン(63)の運転で進む。目指すのは、動き始めた河港開発事業の予定地。堤防がせり出し、川との距離が近い一角に着いた。

 「ここに船のドックをつくる」。開発コンサルタントのトッド・エリー(59)が言った。「船の積み荷をクレーンで引き上げ、移し替えるんだ」。堤防の内側にトレーラーを待たせ、既存の鉄路を改修すれば鉄道での搬出も可能になる。「積み荷」とは、エリーが示したカマボコ板形の船に載せることになるコンテナだ。

 過去数十年間のグローバル化は、外洋でのコンテナ輸送の進化に支えられてきた。20フィート(約6メートル)と40フィートの長さで国際的に統一された「箱」は、貿易の障害になっていた輸送費用を劇的に引き下げた。近年は、20フィートのコンテナを2万個詰めることを指す「2万TEU」超の巨大コンテナ船も運航する。パナマ運河の拡張で大型コンテナ船がメキシコ湾に入りやすくなり、アジアとの結びつきはさらに増す。

連載「断層探訪 米国の足元」

冷戦終結後、世界はグローバル化をひた走り、企業はサプライチェーンの効率化を前提として経済成長を追求してきた。膨大な富が生まれる一方、格差の拡大や地域社会の弱体化は、民主主義を弱めた。新型コロナウイルスがもたらした危機は、時代の転機を告げている。ただ、一国に閉じこもる保護主義も答えにはならない。激動する市場と、統制色を強める国家とが織りなす「コロナ後」の世界。動揺するサプライチェーンの「断層」で針路を探る人々を訪ね、各5回構成で報告する。

 この結びつきを、ミシシッピ…

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連載断層探訪 米国の足元(全30回)

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