第23回共生なければ皆愚かに滅びる 奴隷ジムの希望の地、ケアロの黒人町長

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米イリノイ州ケアロ=青山直篤
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断層探訪 米国の足元 第5部③

 「ジムは必ず見つける、なぜならカイロを見た瞬間から自分は自由の身となれるのだし、もし、見逃したら再び奴隷の国に入り込んでしまい、二度と自由になる機会はなくなるのだから、と言った」

 米文学の傑作として知られる、文豪マーク・トウェインの「ハックルベリイ・フィンの冒険」(新潮文庫版、村岡花子訳)の一節だ。「カイロ」とは、米イリノイ州ケアロのことだ。

 主人公の浮浪児ハックとともにいかだでミシシッピ川を下る黒人奴隷ジムは、オハイオ川との合流地点ケアロで針路を変え、蒸気船でオハイオ川を上流へとさかのぼり、自由州へ入ろうと計画していた。だが、2人はさまざまな不運からケアロを行き過ぎてしまう。

連載「断層探訪 米国の足元」

冷戦終結後、世界はグローバル化をひた走り、企業はサプライチェーンの効率化を前提として経済成長を追求してきた。膨大な富が生まれる一方、格差の拡大や地域社会の弱体化は、民主主義を弱めた。新型コロナウイルスがもたらした危機は、時代の転機を告げている。ただ、一国に閉じこもる保護主義も答えにはならない。激動する市場と、統制色を強める国家とが織りなす「コロナ後」の世界。動揺するサプライチェーンの「断層」で針路を探る人々を訪ね、各5回構成で報告する。

 ジムの希望の地だったケアロ…

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連載断層探訪 米国の足元(全30回)

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