大震災きっかけに料亭→定食屋に 続いた不幸、閉店決めた店主の思い

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東野真和
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 岩手県大槌町で約半世紀。日本料理店「千勝(せんかつ)」が、9月末で閉店した。もともとは高級店だったが、東日本大震災をきっかけに、定食店へと業態を変え、町内外の人々を食で元気づけてきた。

 9月30日、大槌町のショッピングセンター「マスト」。フードコートにある千勝の店の前は、口コミで閉店を知った人から届いた花束でいっぱいだった。

 「もったいないよね」「よくがんばってくれた」。常連客が次々と声をかける中、営業が終わった。

 千勝の主人、千葉勝さん(78)は親類が経営する東京の料亭を手伝ったのがきっかけで、18歳から修業を開始。25歳で帰郷し、釜石市の料亭「楽山荘」で働いた。皇族や製鉄所幹部の会席に携わった経験もある。

 1975年、独立して大槌に千勝を開店した。地元産鮮魚のほか、フグやスッポン、ウナギなどを扱う高級料理店として知られた。

 だが、東日本大震災後、メニューや店の雰囲気を変えた。企業などの顧客相手から、買い物客や復興事業で来町した町内外の人たち相手の店にした。もうけより、いかに喜んでもらうかを考えるようになった。「色んな人の助けがあって60年料理人ができた。特に妻には苦労をかけたので、楽させてあげたい」。閉店にあたり、振り返った。

     ◇

 2011年3月11日が、さまざまなことを変えた。

 津波が、店舗兼住宅、そして隣の山田町の高齢者施設に入っていた父の武雄さん(当時95)を奪った。

 建物の基礎のみとなった店舗…

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