「まかない飯」のカレーが異例のヒット 消防署が町おこしに動くワケ
柏樹利弘
緊急出動で食べ損ね、冷めてしまってもおいしい――。愛知県幸田町の消防署で当直勤務の署員が代々つくり続ける「まかない飯」から着想したレトルトカレーが、今春の発売以降ヒットを続けている。特産品の豚肉や果物を使い、スパイスもしっかり効いた本格派だ。さっそくメニューに加える飲食店も出てきたが、町外の飲食店への提供は断っているという。
商品名は「愛知幸田の消防カレー」。町内で生産される豚肉「夢やまびこ豚」の柔らかい肩ロースを使い、サシの甘みが口に広がる。カルダモンなど12種類のスパイスを取り入れつつ、町特産の筆柿のジャムやイチジクのペーストを混ぜることで、味にコクを与えている。冷めてもサラサラの状態を保てるように小麦粉は使わない。
町の消防署員らが持ち寄ったアイデアをもとに、名古屋市の料理研究家・長田絢さんに監修してもらい、レシピを完成させた。
はじめは町役場の食堂や道の駅で提供していた。好評だったため商品化して4月に発売した。5千食を見込んでいたが約2カ月で完売。追加生産を繰り返し、10月中旬までに計1万食を売り上げている。
なぜ「消防カレー」なのか。
町消防本部消防司令の新實直…