霞ケ浦の戦跡、銀輪で駆けよう 筑波大生ら、県・自治体に提案

谷口哲雄
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 霞ケ浦周辺の戦争関連の史跡を自転車で回るツアーを筑波大の学生らが提案している。サイクリングを楽しみながら戦争の記憶にも触れられる内容で、茨城県や関連自治体などに働きかけて実現をめざす。

 筑波大の大沢義明教授(都市計画)の研究室に所属する学生と大学院生ら5人のグループが企画した。

 霞ケ浦の周りには全長180キロの自転車道「つくば霞ケ浦りんりんロード」がある。沿道や周辺には、戦時中に旧海軍が航空機搭乗員を養成した予科練の歴史をたどる予科練平和記念館(阿見町)のほか、鹿島海軍航空隊跡(美浦村)、特攻兵器「桜花」の訓練を重ねた基地跡にできた桜花公園(鹿嶋市)など、戦争関連の史跡も多い。

 これらの場所を自転車で巡ってもらい、健康づくりに役立てながら戦争と平和についても考えてもらうきっかけにする狙いがある。

 スマートフォンなどデジタル技術に親しんでいる若い世代を意識し、単に史跡を訪ねるだけではなく、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)を生かした体験も提案している。海軍航空隊跡地でスマホをかざすと、当時の飛行機の写真が重ねて表示されて昔の風景が再現される▽ドローンで上空から撮影した動画で、飛行訓練生が見た風景を疑似的に体験できる、といったアイデアだ。

 自転車だけで長距離を移動するのは体力的にきついという人のために、一部区間はバスや船を使うことも盛り込んだ。

 グループ代表で修士課程2年の幸坂麻琴さん(24)は「霞ケ浦や茨城の田園風景をサイクリングで楽しみながら、戦争があった時代に思いをはせてもらえればうれしい。特に自分たちと同じ大学生に参加してほしい」と期待する。

 大沢教授は「今はコロナ禍でさまざまな行動の制約を受け、健康管理も難しい。自転車で心身を鍛え、コロナに負けないぞという学生たちの意思を感じ取ってもらえれば」と話す。

 県や霞ケ浦周辺の自治体、交通関連の企業などにツアー内容を説明し、実現へ協力を呼びかけている。

 県スポーツ推進課の担当者は「教育的な効果が高いプランだ」と評価。「県内の中学校や高校の校外学習に、戦争関連史跡を巡るサイクリングを提案していきたい」と話す。

 関東鉄道(本社・土浦市)は、自転車をそのまま積める路線バスを、土浦市―つくば市間のりんりんロード沿いに運行している。総務部の担当者は「今後の利用状況を見て、霞ケ浦の周りを走る路線への導入も検討したい」という。(谷口哲雄)