リビア大統領選、有力者が立候補 「自由で公平な選挙困難」指摘も
内戦によって国家の分裂が続いた北アフリカのリビアで来月に予定される大統領選で、有力武装組織を率いたハフタル氏が16日、立候補を表明した。長期独裁体制を敷いたカダフィ大佐の次男も14日に立候補した。ただ、政治勢力間の対立などで、選挙の実施にこぎ着けるまでには紆余(うよ)曲折がありそうだ。
10年前に中東で起きた民主化運動「アラブの春」を受け、リビアでは42年間続いたカダフィ独裁政権が崩壊。東西に分かれる内戦が起きたなか、ハフタル氏は東部の武装組織「リビア国民軍(LNA)」を指導する。LNAはアラブ首長国連邦(UAE)やロシア、エジプトなどの支援を受け、国連が認める西部の暫定政府を攻撃した。
外国軍や外国人傭兵(ようへい)も入り乱れて混迷が深まるなか、暫定政府とLNAは昨年10月に停戦で合意した。今年3月には暫定統一政府が発足し、来月24日に大統領選と議会選が行われることが決まった。
だが、首都トリポリなどの西部に住む住民には、激しい戦闘に深くかかわったハフタル氏の出馬には反発も多いとみられる。同氏は演説で、「(選挙が)リビアが混乱から抜け出す唯一の道だ」と訴えた。
選挙はリビアの安定化に向けた試金石で、12日にフランスで開かれた国際会議では、期日通りの選挙実施を目指すことで一致した。ただ、政治の混乱は収まっておらず、傭兵部隊などの撤退も進んでいない。武装勢力が支配する地域では、自由で公正な選挙の実施は難しいとの指摘もある。
大統領選をめぐっては、カダフィ大佐の後継者と言われた次男セイフルイスラム氏も立候補を表明したほか、暫定統一政府で首相を務めるダバイバ氏の出馬も取りざたされている。セイフルイスラム氏は、市民への弾圧などで国際刑事裁判所から人道に対する罪で逮捕状が出ている。(イスタンブール=高野裕介)
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