鉄より強くナイロンより伸びる 「夢の繊維」注目されるもう一つの訳

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土屋亮
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 洋服のタグには、綿、ナイロン、ポリエステルといった素材の名前が書いてある。「たんぱく質繊維」という表示をいずれ見かけるようになるかもしれない。耳慣れない新しい素材が、アパレル業界で注目を集める理由とは。

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スパイバーが開発した素材を使った糸と生地=同社提供

 映画「スパイダーマン」にも描かれているクモの糸は、たんぱく質繊維のひとつ。重さあたりでは鋼鉄より強く、伸び縮みはナイロン以上と言われる。そんな「夢の繊維」を人工的に再現した企業が山形県鶴岡市にある。慶応大学発のベンチャー「スパイバー」だ。

クモの遺伝子を参考 サトウキビ由来

 設立は2007年。クモの遺伝子配列を参考に、クモの糸に似た機能のたんぱく質をつくることに成功した。サトウキビからとれる糖類などを微生物に与え、発酵させる。新素材を「ブリュード・プロテイン」と名づけた。

 「製造の過程で生地の風合いを変えたり、吸湿、速乾、消臭などの効果を加えたりできる」と関山和秀代表。15年以降、スポーツ用品大手ゴールドウインと組んでTシャツやセーター、アウトドアジャケットを限定販売した。アウトドアジャケットは1着15万円だった。

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ゴールドウインと共同開発したアウトドアジャケットを紹介するスパイバーの関山和秀代表=2019年12月、山形県鶴岡市

 価格とともに普及への課題になりそうなのが、認知度だ。

 ゴールドウインから売り出した新素材アパレルのタグ表示は「分類外繊維」。スパイバーの関山氏は「たんぱく質繊維、という表示を認めるよう関係機関に働きかけていく」。

 量産化に向け、資金調達と設備投資も急ぐ。

 昨年は、日本国内のベンチャー企業としては異例の水準である316億円を調達。ことしも399億円を集めた。これらを投じ、タイと米国で新工場を準備しており、近く稼働させる。

 足元の売上高は2億円ほどだが、「数年で数百億円規模に拡大する潜在力がある」。スパイバーに100億円を出資した投資会社カーライルの山田和広・日本代表は、そう話す。

■投資家からの期待 背景に「…

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