第75回【新聞と戦争・アーカイブ】イベントは過熱する:7

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【2007年6月13日夕刊3面】

 1941年12月10日、作曲家古関裕而(こせきゆうじ)は東京・内幸町のコロムビアにいた。午後4時すぎ、廊下に新設されたスピーカーから突然、軍艦マーチが流れた。臨時ニュースだ。

 「大本営海軍部発表 シンガポール軍港を出発し、北上中の英国戦艦プリンス・オブ・ウェールズとレパルスを、海軍航空攻撃隊はマレー半島沖で発見、これを撃沈せり」

 その直後、日本放送協会の音楽担当者から電話が入った。「臨時ニュースを聞きましたか。今夜7時のニュースで歌を放送しますから、至急作ってください」

 たまたま作詞家高橋掬太郎(きくたろう)が一緒だった。メロディーが浮かぶとすぐ譜面にして高橋に渡す。プリンス・オブ・ウェールズを、メロディーにのせるのは難しかったが、発音が明瞭(めいりょう)な歌手藤山一郎が歌うと聞き、三つの音にまとめた。

 放送局へ駆けつけ、1回練習…

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