第1回11時間休憩なし、ぶっつけ授業も 夕暮れの職員室で思う理想と現実

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高浜行人
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 神奈川県の公立小学校の職員室。窓の外の夕闇が濃くなるなか、4年生の担任を務める30代男性教諭は、パソコンに向かっていた。

 時計を見上げると、もう午後6時を回っていた。

 退勤時間を1時間以上過ぎていたが、職員室では同僚の教員10人ほどが机に向かっていた。

 子どもたちが下校してからこの時間まで、連絡や事務作業に追われていた。

 子ども同士のトラブルについて、当事者の家庭に電話で説明し、謝罪。

 運動会の準備に必要な作業についての打ち合わせ。

 遠足の書類づくりと手配のための電話かけ。

 子どもたちに配る予定表の作成と印刷。

 校内向け時間割の修正や印刷。

 テストの採点と記録……。

 電話がなるたび、取り次ぎのため作業は中断する。

 出勤してから11時間近くたつのに、休憩はとれていない。疲れが両肩にのしかかる。

 昼に給食を数分でかきこんだきりで、空腹もこたえる。

 これ以上は、翌日に差し障る。心の中でため息をつきながら、帰宅の準備を始めた。

 「きょうも自分の仕事ができなかった」

 男性がやりたかった仕事とは、翌日の授業の準備だ。

 教員として一番大事なはずの授業がおろそかになっている。

 男性は、そんなうしろめたさを常に感じながら、教壇に立っている。

「定額働かせ放題」とも言われる教員の長時間労働。実態はどのようなもので、問題点はどこにあるのでしょうか。先生たちの姿を通じて報告する連載を始めます。初回シリーズでは、授業と直接関係のない事務作業に追われる若手教員らの思いを伝えます。

 もとは中学の教員だった。

 運動部の顧問を任され、熱心な保護者の要望もあって土日も活動した。

 休みはほとんどなかった。

激しい動悸、「このままだと死ぬ」

 やがて激しい動悸(どうき)…

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