第85回【新聞と戦争・アーカイブ】表現者たち:2

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【2007年10月16日夕刊3面】

 馬淵逸雄(まぶちいつお)は陸軍の報道のプロである。

 陸軍大学校を卒業後、主に宣伝、報道畑を歩んだ。戦争において報道・宣伝がいかに重要かを認識していた。陸軍省新聞班を経て1938年、中支那派遣軍報道班長・中佐として上海にいた。

 馬淵が、芥川賞を受賞した玉井勝則伍長(火野葦平)を杭州の部隊に訪ねたのは、授賞式が終わってしばらくしてからだった。馬淵は、葦平を一目見て気に入った。青白いスマートな文学青年かと思ったら、ゴツい分隊長がやってきた。

 馬淵が上海の報道部に来ないかと言うと、葦平は即座にその柄ではありません、と断った。

 この答えも馬淵を喜ばせた…

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