第93回【新聞と戦争・アーカイブ】表現者たち:10

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【2007年10月26日夕刊2面】

 1945年12月23日、東京新聞音楽評論家山根銀二の「資格なき仲介者」という文が載った。戦時中、日本音楽文化協会会長、音楽挺身隊(ていしんたい)隊長を務めた山田耕筰を「典型的な戦争犯罪人」と厳しく弾劾した。楽壇の自由主義者やユダヤ系音楽家を、軍の圧力を借りて弾圧したという主張だ。

 山田は同日の紙面で、戦時中、国家の要望に従ってなした愛国的行動が戦争犯罪になるなら、「日本国民は挙げて戦争犯罪者として拘禁されなければなりません」と反論した。

 これは「音楽戦犯論争」として有名になったが、戦後の音楽界の主導権争いの様相を呈し、結局、中途半端に終わった。音楽関係者からは、戦争責任による追放は一人も出なかった。

 山田はその後もオペラに取り…

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