第5回際限なく仕事が広がる学校現場 専門家が指摘するいくつもの「不備」

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聞き手・高浜行人
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 授業に注力できない、残業が多い、休憩がない……。日本の教員がここまで忙しいのは、なぜなのでしょうか。子どもとじっくり向き合う余裕を持つにはどうすればいいのでしょうか。文部科学相の諮問機関、中央教育審議会で副会長などを歴任した小川正人・東大名誉教授に聞きました。

 ――教員の働き方の現状をどう見ていますか。

 学習指導以外にも、際限なく仕事が広がりがちな状況があるといえます。

 職務の範囲が「ここからここまで」と限定されていないメンバーシップ型の組織であることが前提になっており、「児童生徒のためなら時間を惜しまない」という教員の献身性も、長時間労働の一因になっていると思います。

 日本の組織全般にいえることですが、教員の場合は家庭や地域など関係先が多いため、特に線引きが難しい。

 授業が教員の本来業務であるにもかかわらず、ほかの無限定で多岐にわたる職務があることで、授業の回数も負担になっています。本来の仕事である授業の持ち時間数と、他の仕事とのバランスを適正にする必要があります。

いじめ・SNS・貧困…学校は複雑化

 ――教員の長時間労働は以前から指摘されていましたが、社会問題化したのは近年になってからです。何が変わったのでしょうか。

 まず、学校教育の問題が複雑…

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    小熊英二
    (歴史社会学者)
    2021年11月29日23時26分 投稿

    【視点】そもそも、教員が児童や保護者の対応をしたり、事務的な書類作成や連絡をしたりする必要があるのだろうか。 教員は、教育の専門職である。児童の相談対応は、ほんらいならカウンセラーの仕事であり、またカウンセラーはその訓練を受けた専門職であるは

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    仲村和代
    (朝日新聞デジタル機動報道部次長)
    2021年11月24日12時19分 投稿

    【視点】息子が小学校に入ってから、連日、大量の紙資料が配られ、その処理に追われています。大事なものとそうでないものを分類するだけでもそれなりの手間。その中には、学校とは直接関係なさそうなイベントの案内や、家庭でのしつけに関わる内容、地域の活動に関わ

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