職員の給与支払いも難しく パレスチナ支援の国連機関、財政難

エルサレム=清宮涼
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 国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)が、各国の支援の減少により財政難に陥っている。16日、ブリュッセルで支援国による国際会議が開かれたが、今年の予算の不足分を埋めることはできなかった。支援事業にも影響が出かねない状況だ。

 スウェーデンヨルダンが主催した国際会議では、各国から新たに計3800万ドルの拠出が表明された。だがUNRWAによると、今年の予算のうち6千万ドルがいまだ不足している。AFP通信などによると、UNRWAのフィリップ・ラザリーニ事務局長は、職員の給与支払いも難しくなっているとして、「解決策を見つけなければ、組織は崩壊の危機にある」と訴えた。

 UNRWAは、パレスチナ自治区や隣国ヨルダン、レバノンなどで暮らすパレスチナ難民に食料や医療、教育などの支援を提供しているが、近年、たびたび財政難に苦しんでいる。

 ラザリーニ事務局長は16日、「活動を脅かす政治的な攻撃が増えている」とも懸念を示した。イスラエルは、UNRWAを「政治的な組織」として批判し、各国に拠出をしないよう呼びかけている。米国は長年、最大の支援国だったが、トランプ前政権は2018年、拠出金を完全停止。当時は欧州連合(EU)などの追加支援でしのいだ。バイデン米政権は今年、拠出を再開する方針を示したが、資金不足は解消されていない。昨年は2800万ドルを拠出したサウジアラビアなど湾岸諸国が今年の支援を縮小しており、財政難の原因になっているという。(エルサレム=清宮涼

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    三牧聖子
    (同志社大学大学院准教授=米国政治外交)
    2021年11月18日15時46分 投稿

    【視点】UNRWAへの資金援助を再開した米国だが、議会にはUNRWAの「政治性」を問題視し、支援に反対する政治勢力があり、予断を許さない。 先の4月、超党派の議員が「パレスチナの教育における平和と寛容」という法案を提出した。これは、UNRWA