LINE個人情報めぐる特報、朝日新聞社に新聞協会賞 盛岡で授賞式

貞国聖子
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 第74回新聞大会(日本新聞協会主催)が17日、盛岡市で開かれ、全国から約320人が参加した。今年度の新聞協会賞の授賞式があり、朝日新聞社の「LINEの個人情報管理問題のスクープと関連報道」など計6件と新聞技術賞、新聞経営賞各1件が表彰された。

 朝日新聞は、無料通信アプリ「LINE」の個人情報が利用者への具体的な説明が不十分なまま、中国の業務委託先からアクセスできる状態になっていたことを調査報道で特報。朝日新聞東京本社編集局の峯村健司編集委員が取材班を代表し「日本メディア全体がプラットフォーマーとの関係性を考えるきっかけとなり、IT国際調査報道が普及することを願っている」とあいさつした。

 一連の報道でずさんな運営の実態が明らかになり、国や自治体が対応を迫られるなど大きな影響を与えた。「国内外の取材網を駆使し、プラットフォーム事業者が大きな影響力を及ぼすようになった社会に警鐘を鳴らした調査報道」と評価された。

 新聞協会賞の他の受賞作は、中日新聞社と西日本新聞社の合同取材班による「愛知県知事リコール署名大量偽造事件のスクープと一連の報道」や、防護服姿の母娘が思わず抱き合った瞬間を撮影した毎日新聞社の「『ぬくもりは届く』~新型コロナ 防護服越しの再会~」など。

 新聞3社の社長によるパネルディスカッションでは、「報道は災害にどう向き合うのか」などをテーマに議論を交わした。

 岡畠鉄也・中国新聞社長は、死者・行方不明者の氏名公表に関する自治体の判断が分かれていることにふれ、「犠牲者一人一人の生きた証しを刻み、読者と共有することが災害の風化を防ぐことにつながるのではないか。公表の有効性を訴え続けていかなければならない」と述べ、氏名公表の必要性を訴えた。

 中村史郎・朝日新聞社長は、災害時にSNSの情報が届きやすい半面、誤った情報が拡散する恐れを指摘。「日ごろからニュースを発信している新聞社、テレビ局の情報が確かであるということを知ってもらう必要がある。誤情報などに対しては、取材力を使って『デマ』『確認されていない情報』と発信していくことも重要」とした。

 東根千万億(あずまねちまお)・岩手日報社長は、災害取材にあたる記者の過労問題について「次の大災害に備え、管理職を鍛えていくことも必要」と述べた。(貞国聖子)

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第74回新聞大会決議

 東日本大震災から今年で10年となった。被災地の復興は道半ばであり、他の地域でもこの間、大きな自然災害が頻発している。新型コロナウイルス禍は、人々の営みに大きな影響を与え、困難と課題をもたらしている。

 社会の先行きは依然不透明である。真偽不確かな情報もあふれている。その中で、信頼される情報の重要性は一層高まっており、新聞には、正確な報道と公正な論評を通じて人々に判断材料を提供し、世代を超えて広く議論を喚起する役割が求められる。

 私たちは責任あるジャーナリズムの担い手として、よりよい社会の実現に向け、自らの使命を果たしていくことを誓う。