リンゴ栽培、ジョイントV字樹形を開発 作業時間も農薬も3割カット
リンゴ「ふじ」の新しい栽培技術を宮城県農業・園芸総合研究所(名取市)が開発した。効率よく収穫などが出来るため、従来よりも作業時間が33%減らせる。生産農家の高齢化や担い手不足が進むなか、新技術に期待が集まっている。
新技術は「ジョイントV字樹形」と呼ばれ、初めての収穫が15日、同研究所で始まった。
研究所によると、ふじの木を地上80センチの高さで曲げて水平に伸ばし、1~1・5メートル間隔を空けた隣の木と接ぎ木でつなげる。枝は60度の角度で上方に伸びるようにする。
従来の栽培方法は高い位置などでの作業も必要だが、新技術は、ほぼ同じ場所に実がなるため、収穫などの作業が効率よくできる。年間の作業時間は従来よりも33%減らせる。農薬も無駄なく散布でき、使用量を3割減に抑えられるという。
さらに、この技術を使えば、木を植えてから3年目で収穫を始められ、6年目には収益が見込めるまでになることもわかった。従来より2年ほど早く、すでに登米市の農家3軒が技術を導入したという。研究所は今後、ほかの品種でも応用できるか検討を続ける。
果樹生産の現場でも、担い手の減少と高齢化は深刻だといい、研究所は、少しでも効率的に栽培してもらおうと、新規就農者を中心に技術の導入を呼びかけていくという。
花き・果樹部の高嶋名世瑠・副主任研究員(45)は「新技術が起爆剤となり、果樹栽培に取り組む人が増えてくれれば」と期待する。農薬散布や収穫作業の機械化にも対応しやすいため、将来的に作業の無人化も視野に入れる。
研究所は技術をまとめたマニュアルを県のホームページで公開している。(三井新)
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