「ねぇ、どっちがいいと思う?」 アパレル店員が気づいた満点の答え
若松真平
試着室で着替えた彼女が、彼氏に向かってこう尋ねた。
「ねぇ、どっちがいいと思う?」
アパレル店員歴7年の渡(わたり)とらさんにとって、よく見かける光景だ。
直前までスマホをいじっていた彼氏は、それほど興味がなさそうに見える。
「どっちでもいい」と答えたら、いかにも関心がないと思われるだろう。
「こっちがいい」と断定したら、違った場合に長引いてしまう可能性がある。
「もう一方はどんなやつだっけ?」
「持ってなさそうな方がいいんじゃない」
そんな答え方もあるが、彼氏はどれを選ぶだろうか。
しばらく眺めていたら、結局「どっちでもいいと思う」だった。
彼女は「いつも、それじゃん!」と怒っていた。
◇
こうしたやりとりの中で、「100点満点の回答だ」と思う場面に出くわしたことがある。
ドレスを選んでいた彼女が「ねぇ、ねぇ、どっちがいいと思う」と尋ねると、彼氏が笑顔で答えた。
「僕は洋服のことはわからな…