老舗漬物店がそのままレストランに 古い建物がマンション化する中で

松永佳伸
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 岐阜市美殿町の商店街にある老舗漬物店が18日、オーガニック料理を中心としたレストランに生まれ変わる。大正時代に創業した「美殿屋漬物店」は今春、後継者がなく閉店。建物も取り壊されるはずだったが、市内で飲食店を営む片山治さん(30)が漬物店の看板を残したまま受け継ぐことになった。

 漬物店がある美殿町商店街は柳ケ瀬商店街の東側にあり、古書店や陶磁器店、飲食店などが軒を連ねる目抜き通りに位置する。街の景観に溶け込んでいる店のたたずまいから、地元の商店街では「取り壊さずに何とか生かすことはできないか」と考えていた。

 そこに現れたのが片山さんだった。東京で6年間、料理の修業をした片山さんは2018年、岐阜駅近くの繁華街・玉宮地区にオーガニック料理専門店「toU」を開いた。仲間2人と伊吹山で採れた薬草を使ったクラフトコーラづくりを進めるなど、店が手狭になったため移転先を探していた。

 不動産業者から漬物店の話を小耳に挟んだ片山さんは「壊すのはもったいない。自分にレストランをやらせてほしい」と申し出た。

 古い建物が次々とマンションや駐車場に変わる周辺の光景に寂しい気持ちを抱いていたという。

 片山さんは、クラウドファンディングで改修費用などの資金を集め、開店にこぎ着けた。漬物店で使っていたたるを解体してテーブルの天板にし、古いたんすもインテリアの一部として利用する。漬物店の看板もあえてそのまま残すことにした。

 店の奥には、クラフトコーラを製造するための工房も整備する予定だ。片山さんは「できるだけ手を入れず、昔のままの雰囲気を生かしたかった」と話す。

 店は「ナチュラルベース」と名づけ、子どもから大人まで楽しめるレストランをめざす。オーガニック野菜や「ぎふコーラ」、その場で搾るピーナツバターの販売のほか、子ども食堂の運営、みそづくりなどが体験できるワークショップの開催も視野に入れる。

 営業時間は午前11時半~午後2時と午後4~10時。火、水曜日定休。(松永佳伸)