転職後の賃金、「減った」が「増えた」を上回る 国の20年調査

橋本拓樹
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 厚生労働省による2020年の「転職者実態調査」で、転職後の賃金が転職前より「減った」と答えた人が、「増えた」と答えた人を上回った。転職しても必ずしも待遇の改善がともなわない実態がうかがえる。

 調査は前回15年の調査以来、5年ぶりに実施された。2019年10月~20年9月に転職した約5500人を調べた。

 賃金が増えた人は39・0%。これを減った人の40・1%が上回った。増えた人から減った人を差し引いた指数のDIはマイナス1・1ポイントになった。前回15年のDIは4・1ポイントで、増えた人のほうが多かった。

 雇用形態別では、非正規雇用労働者で転職後に賃金が減った人が52・0%と半数を超え、DIはマイナス19・7ポイントだった。前回15年のマイナス11・3ポイントからマイナス幅が広がった。

 正社員のDIは今回4・2ポイントでプラスだったが、前回の9・3ポイントからは悪化した。

 年代別にみると、50代以上の転職者は賃金が減った人のほうが多かった。厚労省の担当者は「高年齢者の雇用が増えているが、一定の年齢で賃金が落ちたり非正規になったりすることが多い。非正規で賃金が減った人が多くなったのは、高年齢者が増えた影響が考えられる」と話す。

 厚労省の別の調査では、20年5~9月にコロナ禍で解雇や雇い止めになった非正規雇用労働者が、全国のハローワークや労働局に届け出があっただけでも約3万人いた。賃金が下がっても、生活のために職に就くことを優先せざるを得なかった人たちも一定程度いた可能性がある。(橋本拓樹)