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個別接種提唱した「練馬区モデル」振り返る

新型コロナウイルス

御船紗子
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 新型コロナウイルスのワクチン接種で、多くの自治体とは異なる対応をとってきた東京都練馬区。集団接種ではなく、住民がそれぞれのかかりつけ医などで受ける個別接種をメインに位置づける方法で、「練馬区モデル」と名づけられ、国からも注目された。区は迅速な接種につながったと評価する一方、かかりつけ医のいない若年層向けには集団接種も有効だった、と分析。これから始まる「3回目」の接種方式に生かす方針だ。

 区は今年1月、「早くて近くて安心」などの理由で、医療機関での個別接種を軸に進める「練馬区モデル」を発表。診療所で1週間あたり約3万7千回分を接種する計画で、集団接種会場も設けたが、こちらは約1万回分。両方を合わせた約4万7千回分で、高齢者(約16万人)の希望者への接種を6週間で完了できると見込んでいた。

 しかし、全国でワクチン接種が本格化した4月以降、ワクチンの供給量が少なく、個別か集団かの方法とは無関係に、全国的に接種は進まなかった。

 区内では高齢者施設から先行して接種を始め、5月下旬から集団接種が計10会場で始まった。約350の医療機関が参加した個別接種が始まったのは6月からで、集団接種と個別接種を合わせて週に約2万1千~約3万7千回のペースで接種が進んだ。12歳以上の1回目の接種率は5月末は2・6%だったが、6月末には16・5%になった。

 当時の菅義偉首相は、7月末をめどに高齢者の2回目の接種を完了させる目標を掲げていた。区は、個別接種で補えない分を集団接種会場を増やすことで対応し、週に約5万回の態勢にした。しかし、この時期もワクチンの供給が滞り、7月に集団接種の新規予約を停止。個別接種も新規予約の受け付けを制限した。

 ワクチンの供給が安定した9月以降は順調に進み、今月17日現在、区民の2回目の接種率は81・8%。練馬区モデルは十分に機能したのか。区住民接種担当課の中島祐二課長は「区民が近場で気軽にワクチンを打てたことで、接種が迅速に進んだ」と話す。東京23区で5番目に面積が広く、人口約74万人の練馬区。「多くの区民がアクセスしやすい場所に集団接種会場を置くのは難しい」という。

 ワクチン接種の需要が落ち着き、現在1回目接種の申し込みは個別接種は終了し、集団接種会場を二つだけ残している。その一方で現在力を入れるのが訪問接種だ。寝たきりで外出できないなどの理由で接種を受けられていない区民への対応が狙いで、70人からの申し込みがあった。

 初日となった今月13日、練馬区旭町の太刀川律子さん(88)は自宅マンションの一室で接種を受けた。要介護認定で最も重い「5」で接種に行けなかった。長女の弘子さん(57)は「訪問接種を待っていた。国内の接種率が70%を超えたのに、高齢者がまだ打てないなんてと思っていた」と安心した様子だった。

 ワクチン接種は今後、「3回目」に移っていく。区は今月中に接種券の発送を始める予定で、3回目の接種のピークは来年3~4月となる見通しだ。働く世代や、かかりつけ医のいない区民が多かったこともふまえ、集団接種の会場を増やして対応する。御船紗子

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