匿名の差別的ブログ、投稿者を特定して提訴 川崎の在日コリアン

大平要
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 インターネットへの差別的な投稿で著しい精神的苦痛を受けたなどとして、川崎市在日コリアン3世の崔江以子(チェカンイヂャ)さん(48)が18日、北関東に住む40代男性に対し305万円の損害賠償を求める訴訟を、横浜地裁川崎支部に起こした。男性はブログなどに匿名で投稿していたが、原告側は通信会社などに対する発信者情報開示請求訴訟などを通じて投稿者を特定した。

 訴状などによると、男性は2016年6月、「ハゲタカ鷲津政彦」のアカウント名のブログに、崔さんの名前をあげて「日本国に仇(あだ)なす敵国人め。さっさと祖国へ帰れ」と投稿した。原告側は投稿はヘイトスピーチ解消法が定義する「差別的言動」にあたると指摘。「恐怖を感じ、著しい精神的苦痛を受けた」とした。

 この投稿は法務局が人権侵犯事案にあたると判断したことからブログの管理会社が同年9月に削除した。すると男性は同年10月~20年10月、ブログやツイッターで「差別の当たり屋」「被害者ビジネス」などの投稿を繰り返した。原告側はこうした投稿は「名誉毀損(きそん)や侮辱にあたる」と主張している。

 会見した原告代理人の神原元弁護士は「差別そのものが不法行為にあたるということを判例上確立していくことが、この裁判の意義だ」と述べた。崔さんは、「在日1世のハルモニ(おばあさん)たちは、『帰れ』『出て行け』といわれるのが一番つらいと言う。違法だと示されれば大きな力になる」と話した。

 原告側はブログの運営者や通信会社に対し発信者情報開示を求める訴訟を起こし、今年8月、投稿者の住所を割り出した。(大平要)