イカゲームの若き脱北者は実在する? 外来語知らず、言葉遣いに陰口

有料会員記事韓国大統領選挙2022

ソウル=鈴木拓也
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 ネットフリックスの大ヒット韓国ドラマ「イカゲーム」には、若い脱北者の女性が登場しました。女優チョン・ホヨン演じる脱北者のカン・セビョクは、苦しく辛い生活から逃れるために大金をつかもうと、生死をかけたゲームに挑戦します。セビョクのような女性は韓国にいるのか。そんな疑問から、同世代の脱北者である大手銀行員の趙海柱(チョヘジュ)さん(仮名、29)に、ソウルの金融街・汝矣島(ヨイド)を歩き、話を聞きました。

 ――北朝鮮を逃れ、韓国に来るきっかけは。

 北朝鮮東部の咸鏡南道咸興(ハムギョンナムドハムン)で生まれ育ちました。

 来年3月に大統領選を控えた韓国から市民の声を届ける企画。今回は政治的な理由や生活苦から北朝鮮を逃れ、韓国で暮らす脱北者を取り上げます。

(食糧難に陥った90年代の)苦難の行軍は5、6歳だったので、よく覚えていません。子どもの頃、父は精米所で働いていましたが、お米を食べられるのは正月や(旧盆の)秋夕(チュソク)くらい。主食はトウモロコシの麺やジャガイモでした。

 出身成分(北朝鮮独自の階級制度)も悪かった。金日成(キムイルソン)時代に平壌で記者をしていた父の兄が、体制に不都合な記事を書いてしまい、追い込まれて脱北したからです。

 父は兄を追って、1人で2007年に韓国に脱北しました。母からは「出稼ぎに行った」としか聞かされず、中国にいるのだろうと想像していました。約2年後、父は韓国で一生懸命に働いたお金でブローカーに依頼し、母と妹、私を韓国に呼び寄せました。私が18歳の高校生の時です。中朝国境の凍った川を渡り、中国側に逃れました。

 タイを経由し、韓国に着いた時は胸がいっぱいになりました。北朝鮮には自由も希望もない。言ってはいけない、やってはいけないことばかり。食べていくだけで精いっぱいです。でも、韓国では何でもできる。生まれ変わり、別世界に来たような気分でした。

北朝鮮出身と打ち明けると…

 ――韓国での新生活は。

 (脱北者の定着支援施設であ…

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    奥山晶二郎
    (withnews編集長=メディア)
    2021年11月22日18時56分 投稿

    【視点】人気のドラマ『イカゲーム』の登場人物から、脱北者の実情を読み解く記事。 動画配信サービスの成長は、こうしたエンタメ作品のクオリティーを確実に向上させています。 その結果、『イカゲーム』のように、現実を上手に取り込むケースも生まれ