大阪府内の食品メーカーが製造した乳幼児向けのパンで2件の窒息事故が起きたことが先月報じられると、SNS上には亡くなった男児の親を責める書き込みが相次いだ。批判の矛先が親に向かうのはどうしてか――。(小林未来、前田朱莉亜)
窒息事故が起きたパンは、10年ほど前から流通している。2020年の出荷は約190万袋。これまでに把握された事故は2件で、このうちの1件は昨年3月に発生し、10カ月の男児が死亡した。普段は男児がかみちぎって食べていたが、母親が一瞬だけ目を離した隙に丸ごとつかんで口に入れてしまったという。2件目は静岡県で今年6月に発生し、11カ月の男児が一時的にのどに詰まらせたが、はき出して命に別条はなかった。
国民生活センターが先月、このパンについて記者会見で注意喚起情報を公表すると、SNSには「このパンでヒヤリとした経験がある」「確かに硬い」といった感想のほか、「母親がちゃんと見てれば防げた事故じゃないの?」「一歳未満の子に目を離してあげるもんじゃない」「メーカーは悪くない」などの投稿が相次いだ。子どもを亡くした親自身がメーカーを批判した事実はないが、「窒息してメーカーに文句言うのは違う」といった書き込みもあった。
「心えぐるコメントに気持ち沈んだ」
子どもの事故で親が責められ…