地球温暖化対策に突きつけられる「気候正義」 かぎは市民参加に
記者解説 編集委員・石井徹
私たちは、産業革命前の平均気温より1・1~1・2度高い世界に生きている。英グラスゴーで開かれた国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)では、それを1・5度までに抑えることを目指し、温室効果ガスの削減目標をさらに高めることで合意した。
国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、8月に公表した最新の評価報告書で、たとえ厳しい対策をしても一時的に1・5度を超える可能性が高いと指摘した。
シンクタンクによるプロジェクト「クライメート・アクション・トラッカー」の試算によると、気温上昇幅は現行の政策のままなら2・7度、日本をはじめ150カ国以上が引き上げた2030年の削減目標を考慮すると2・4度、これに長期的な温暖化防止戦略を加えると2・1度。戦略なしの実質ゼロ表明まで含めた楽観的シナリオなら、50%の確率で1・8度までに抑えられる可能性があるという。
15年に合意したパリ協定は…