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認知症診療の第一人者・長谷川和夫さん死去 自身の認知症を公表

 認知症介護研究・研修東京センター名誉センター長で精神科医の長谷川和夫(はせがわ・かずお)さんが13日、老衰のため死去した。92歳だった。葬儀は親族で行った。喪主は妻瑞子さん。

 聖マリアンナ医科大名誉教授。認知症診断のための簡易スクリーニング検査として広く使われている「長谷川式認知症スケール」を1970年代に開発。認知症診療の第一人者として、認知症への理解を広げることに力を注いだ。

 侮蔑的な意味を含む「痴呆(ちほう)」という呼称の変更を国に働きかけ、「認知症」という新たな用語を提起した厚生労働省の検討会(2004年)にも、委員として参加した。

 17年に認知症との診断を受けた。その後、その事実を各メディアで公表した。朝日新聞のインタビューでは、「『隠すことはない』『年を取ったら誰でもなるんだな』と皆が考えるようになれば、社会の認識は変わる」と、専門医である自分が認知症になった体験を伝える意味を語っていた。

 その後も、「認知症というのは決して固定した状態ではなくて、認知症とそうでない状態は連続している。つまり行ったり来たり、なんだ」など、当事者としての言葉で、認知症についての発信を続けた。

 認知症診断後の18年、子どもたちにケアの理念を伝えようと、認知症の祖母と孫の交流を描いた絵本「だいじょうぶだよ―ぼくのおばあちゃん―」を出版、自身の家庭で実際に起きた出来事をもとに、原作を手がけた。認知症の人が安心して暮らすために、人のきずな、つながりが大切であることを晩年まで訴えた。