どうなる私大のガバナンス強化 有識者案に大学側が猛反発

編集委員・増谷文生
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 相次ぐ私立大の不祥事などを受けて文部科学省が設置した有識者会議が、私立学校の経営体制をめぐって大幅な制度改正を求める報告書を、同省に来月提出する方向となった。私立学校を運営する学校法人の最高議決機関を、学長らが中心の理事会から、学外の人だけでつくる評議員会に変えるのが柱だ。しかし私立大側は猛反発しており、今後は会議の提案がどこまで実際の制度改正に反映されるかが焦点となる。

 有識者会議は、7月に設置された「学校法人ガバナンス改革会議」。日本公認会計士協会の増田宏一・元会長が座長を務め、弁護士や企業統治に詳しい大学教授らで構成されている。

 2018年に起きた日大アメリカンフットボール部の悪質タックル問題や、東京医科大などによる入試不正問題などを受け、私立大のガバナンス(統治)の機能不全が指摘された。日大は元理事らが起訴された背任事件をめぐっても、理事長や元理事に対する理事会などのチェック機能が適切に働いていなかった点が問題視されている。

 政府は19年の骨太の方針で、学校法人について、社会福祉法人などと同等のガバナンス機能が発揮できるように文科省に制度改革を求めた。さらに今年6月に閣議決定された骨太の方針でも「手厚い税制優遇を受ける学校法人にふさわしいガバナンスの抜本改革」について年内に結論を出し、法制化を行うよう求めた。

 これを受けて設置された有識者会議は、理事会メンバーは学内関係者が多く、理事長らが問題を起こしても監督できないとのスタンスで議論してきた。

 19日の会合では同省に提出する報告書の骨子案が議論され、おおむね了承された。現在は学校内の人も入っている評議員会のメンバーを学校外の人だけにしたうえで、理事の選任・解任や予算・決算、合併や解散などの重要な決定を行えるように、私立学校法などの法令の改正を提案するという内容だ。評議員を選ぶ際も、理事会や理事が選ぶのを認めず、選定のための委員会を設けることにし、プロセスを公開して透明性を確保するよう求めている。

 私立大側は反発している。早稲田大慶応義塾大などが加盟する日本私立大学連盟は10月に公表した意見書で「(学外者だけの評議員会では)長期的視野により責任をもって教育研究の支援・運営に関する経営判断の是非を議論するのは困難」と批判。全員を学外の人にするのではなく、「一定の割合以上」にするよう提案している。

 関西大の前田裕学長は今月の記者会見で「私大は長年、評議員会を経営の監視役として位置づけてきた。だが、外部委員だけになると、大学の現状を正確にモニターして色々な指摘をしてもらえるか、いささか難しい問題が生じるのではないか。私大の長い歴史にも十分に配慮して議論してもらいたい」と訴えた。

 有識者会議は12月3日に最後の会合があり、年内に報告書を提出する。これを受けて同省は、関係する法律の改正案を作り、来年の通常国会に提出する方針。(編集委員・増谷文生