園児死亡事故起きた大津市、交通安全条例制定へ 1億円の基金も創設

菱山出
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 滋賀県大津市は交通安全条例を来年4月に制定する。2019年5月、大津市の県道交差点で車2台が衝突し、そのはずみで巻き込まれた保育園児2人が死亡し、園児と保育士計14人が負傷した事故がきっかけ。交通安全を前面に掲げた条例の制定は県内では初めて。市民の寄付金を原資にした交通安全基金も設ける。

 市自治協働課によると、事故後の19年11月、被害者の家族有志が当時の越(こし)直美市長に「交通安全に向けた条例など関連法令の制定を検討してほしい」などと提言した。これを受け、市は条例制定の検討を始めた。

 越氏の次に就任した佐藤健司市長も、これまでの会見で「交通安全対策は市として主体的に進めないといけない」「子どもも高齢者も全ての市民の命を交通事故から守るためには、例えば外国人の方への配慮などもしっかり規定しなければならない」などと述べていた。

 条例案は19条からなり、罰則規定はない。第1条の目的では「交通安全施策を総合的かつ計画的に推進し、交通事故のない安全で安心な地域社会の実現」との理念をうたう。第2条の条例の対象者では、市民と市内に通勤、通学、観光などで滞在する人としている。

 また、第4条では、市は交通安全施策を総合的に策定し実施する責務があると明記している。第5条は対象者が守るべき事項。車両の運転者は安全で適切に運転しなければならず、歩行者は、スマートフォンの画像を注視するなど周囲への注意が散漫となる行為をして危険を生じさせない、などと定めている。

 このほか、交通事故の被害者やその家族が平穏な生活を営めるように総合的な支援を行うこと(第14条)や、子どもの交通安全を確保するため、通学路などを集中的に点検する期間を毎年度設けること(第16条)と、市が果たすべき役割も盛り込んだ。

 一方、基金は、市民から今年9月下旬に寄せられた5千万円を活用。市が同額を出資し、計1億円で設置する。寄付者が「子どもや社会的弱者のために使ってほしい」と希望したことを尊重した。基金の使い道として、危険箇所へのガードレール設置や自転車にチャイルドシートを設置する場合の助成、自転車用ヘルメットの購入などを想定しているという。(菱山出)