香川県庁舎東館、国の重要文化財に 意匠や「芸術家との協働」評価

紙谷あかり
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 高松市香川県庁舎東館が国の重要文化財に指定される見通しになった。国の文化審議会が19日、文部科学相に答申した。戦後に建てられた庁舎が重要文化財に指定されるのは全国初めて。

 東館は1958年に完成し、県庁前通り沿いの3階建てと南庭北隣にある8階建てで構成される。今回は8階建てを旧本館として、「香川県庁舎旧本館及び東館」として指定される。

 建築家・丹下健三(1913~2005)の設計で、初期の代表作の一つとされる。丹下設計の広島平和記念資料館広島市)は2006年に、国立代々木競技場東京都渋谷区)は今年、重要文化財に指定されており、3例目となる。

 日本の伝統的建築を鉄筋コンクリート造りで巧みに表現している意匠性の高さ、1階のピロティやロビーが県民に開かれた空間となっていること、「コアシステム」と呼ばれる構造を採用してフロア全体を自由に使えるような構成が全国の庁舎建築の模範となったことが評価された。

 また「芸術家との協働」も高く評価された。画家・猪熊弦一郎による壁画があるロビーや、インテリアデザイナー・剣持勇が演台や椅子を手がけた県庁ホールは当時の姿をよくとどめているという。丹下研究室がデザインした棚や椅子、剣持による机など家具57点も附(つけたり)指定される。これらの中には、今も庁舎内で使われているものも多い。

 県の担当者は「アート県香川の基盤をつくった建築でもある。今のまま使い続けることが設計者の思いだと思うので、できるだけ長く県庁舎として使い続けられるようにしていきたい」と話した。浜田恵造知事も「大変喜ばしく思う。今後も適切に維持保全を図るとともに、末永く県民の皆様に親しんでいただけるよう努める」とのコメントを寄せた。

 また、文化審議会は国の登録有形文化財に「森家住宅納屋」「森家住宅長屋門」(いずれも高松市)を答申した。(紙谷あかり)