野球部生徒自殺、叱責した教諭を停職3カ月 遺族「処分軽さに驚き」
岡山県立岡山操山(そうざん)高校で2012年7月、野球部マネジャーだった2年生の男子生徒(当時16)が自殺した問題で、県教育委員会は19日、監督だった男性教諭(45)を停職3カ月の懲戒処分とし発表した。「強い口調で叱責(しっせき)し、ハラスメントにあたる不適切な指導だった」と改めて認めた。遺族は「処分のあまりの軽さに驚いている」とするコメントを出した。
県教委が設置した第三者調査委員会は3月、教諭の指導が自殺の原因と結論づけた報告書を公表。県教委は今月3日に遺族と面談し、指導と自殺との因果関係を認めていた。教諭は県教委に対し「反省している」と話しているという。
県教委は会見で、教諭の当時の指導について「部員を大声で厳しく叱責するなど不適切な指導があった」と説明。自殺した生徒に対しては「厳しい指導で形成された関係性が背景にあるなかで、グラウンドに1人残し、強い口調で叱責した」「生徒はその日の夜、自殺に至った」とした。
県教委はこうした一連の行為を体罰やハラスメントとみなし、指針よりも重い停職処分にしたと説明。このほか当時の野球部長ら教職員3人を口頭による注意処分とした。また問題発覚後に調査に消極的だったり、遺族の意思の確認を怠ったりしたなどとして、県教委の当時の幹部職員4人についても口頭による厳重注意や指導とした。自殺当時の校長、副校長、教頭らはすでに退職し、処分対象にはならなかったという。
また鍵本芳明教育長は、13~14年度に県教委の生徒指導推進室長だったことをふまえ、月給10分の1(3カ月分)の自主返納を申し出た。
県教委は「事案を防ぐ体制づくりができず、対応が不十分だった。関係者の処分に9年という長い時間をかけ、ご遺族や県民に深くおわびする」と述べた。
遺族はコメントで処分が軽いと指摘。「私たちを9年以上も苦しめてきた県教委・学校の保身行為に対する第三者委判断との問題意識の違いの表れ。この程度では今後の再発は避けられない。処分の理由について詳しい説明を求めたい」とした。(雨宮徹)