左派と極右の決選投票か チリ大統領選、格差拡大で中道勢力は失速

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サンパウロ=岡田玄
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 南米チリで21日、大統領選の投票がある。7人が立候補しているが、事前の世論調査では、決選投票にもつれ込む可能性が高い。また、1990年の民政移管以来、政権交代を繰り返してきた左右の中道勢力が政権の座を失う公算が大きくなっている。

 選挙戦は、左派で元チリ学生連盟会長のガブリエル・ボリッチ下院議員(35)と極右の弁護士ホセ・カスト元下院議員(55)が競り合い、決選投票に進むとみられている。

 「人々を助け、誰も見捨てられない国にする」。ボリッチ氏は選挙戦最終日の18日、中部バルパライソで演説した。会場には、チリ社会で権利が十分に認められていない性的少数者の象徴である虹色の旗や先住民の旗が翻った。

 一方、カスト氏はこの日、首都サンティアゴで「金だけでなく、自由など多くを失うことをチリ人は恐れている。秩序と治安を守る」と述べ、国の急進的な左傾化を止めようと訴えた。会場にはチリ国旗だけでなく、キューバやベネズエラの国旗もあった。両国で社会主義に抵抗する人たちへの連帯の意思表示だ。

 政情不安が常の中南米で、安定した経済成長を続けてきたチリは「南米の優等生」と言われてきた。ピノチェト将軍による軍事独裁体制を国民投票で退けて以降、約30年にわたり、民主主義が定着。中道左派中道右派が交互に政権交代を繰り返し、政策の振れ幅も小さかった。

 しかし、2019年10月、地下鉄運賃の値上げをきっかけに、拡大する格差に反対する大規模なデモが発生した。アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議などの国際会議が中止に追い込まれた。

 このとき、デモ隊は、左右の中道勢力を「エリート政治」だと批判。より急進的な変革を求め、新憲法を起草する制憲代表者会議につながった。

 今回の大統領選もこの流れの中にある。序盤から優位に立ってきたのは左派のボリッチ氏だ。ボリッチ氏は学生運動の活動家出身で、富裕層への課税や年金、医療保険改革などが公約。労働者や先住民の権利を守るという訴えはデモ隊の主張と近い。さらに、民間企業も含め従業員の1%をトランスジェンダーにすることなども訴えた。

 だが、選挙まで2カ月を切っ…

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