深夜客戻らぬ夜の街 時短解除から1カ月「生活様式変わった」

新型コロナウイルス

五十嵐聖士郎
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 深夜営業する飲食店は増えたのに、客足はコロナ禍前には届かない。兵庫県内での時短要請が約9カ月ぶりに全面解除され、22日で1カ月。ある飲食店主は「早く帰宅する生活様式に慣れてしまったようで、2次会や深夜の客がなかなか戻ってこない」と嘆く。

 JR三ノ宮駅(神戸市中央区)近くのカフェレストラン「グリーンハウス ヴァルト」。1~3階に165席あり、日中はランチやカフェ利用の客が訪れる。夜になると、飲み会の2次会利用の客が午後8時ごろから集まり、午前0時の閉店までお酒やデザートなどを楽しむ姿があった。

 しかし、昨年以降のコロナ禍で、県は飲食店に対し営業時間や酒提供の制限を断続的に要請。先月21日までは、営業時間を最大午後9時までとするよう求めていた。

 どの飲食店も資金繰りのためには営業したいのが本音だ。実際、要請に応じず営業する店もあった。だが、グリーンハウスの佐伯祐季社長(54)は、店で働く一人暮らしの学生や子どものいる母親らに感染リスクを負わせられないと判断し、要請に応じた。

 夜の「2軒目」の客が多い店にとって打撃だった。今春には、結婚式の2次会などパーティーの予約50件ほどが、すべてキャンセルとなった。

 10月の全面解除後は、午前0時まで店を開けている。だが、以前は来客のピークだった午後8時以降になっても客足は鈍く、3階席を使うことは少ないという。「焼き肉店や焼き鳥店などに向かっているようだが、2軒目には行かずに帰っている」と佐伯社長はみる。

 裏付ける数字がある。ソフトバンク子会社「アグープ」のデータで、午後9時台の三宮周辺の人口を比較した。国内初の感染者が確認された2020年1月を100%とすると、今年11月は86%。回復とは言えない。

 佐伯社長は「多くの人が今もマスクを着けて行動するように、夜は早く帰るという生活様式が定着したのでは」。今夏から開店時間を早め、モーニングの提供も始めた。それでも、週末だと1日400人ほどだった客数は6~7割に回復した程度だ。店から約100メートル離れたところにグループ店があるが、主な客層だった学生ら若い客の戻りはさらに遅れているという。

 要請解除で、県から飲食店への協力金の支給はなくなった。「協力金のおかげで首の皮一枚つながっていた。段階的に減額するなど、客が8割ぐらい戻るまでは何とかしてほしい」。いまはケーキ販売などに活路を見いだす。

 三宮周辺では、経営難で撤退する店がある一方、テナント賃料が下がり新規開業する店もある。佐伯社長は今月、開店祝いの花を何軒か贈った。(五十嵐聖士郎)

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